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ICT施工の基本用語集 manfuku編①
――最近よく聞く、あの言葉たちをざくっと整理。
みなさん、こんにちは!マンフクコラムです。
最近、展示会でもメーカー資料でも、ICT施工系ワードがかなり増えてきた。
GNSS。点群。LiDAR。BIM/CIM。
ただ、現場で話していると、
「聞いたことはある。」「なんとなく分かる。」「でも説明しろと言われると難しい。」
そんな言葉も意外と多い。
しかも最近は、ICT施工そのものが、“測量専門職だけの世界”から、かなり現場寄りになってきた。
監督さんがローバーを持つ。重機オペレーターがモニターを見る。点群で現況確認を行う。少し前では、あまり見なかった光景も増えてきている。
今回は、現場でよく聞くICT施工系ワードを、“manfuku辞書”としてざくっと整理。
「今さら聞きづらい。」そんな気持ちを解消していただきたい。
そして、そんな言葉ほど、実は現場でかなり飛び交っている。
目次
基本
・ICT施工
・GNSS
・RTK
・TS(トータルステーション)
3次元・点群
・点群
・LiDAR
・SLAM
データ
・3次元設計データ
・BIM/CIM
・3DGS(3D ガウシアンスプラッティング)
ICT施工
Information and Communication Technology(情報通信技術)を活用した施工のこと。
国土交通省では、
3次元起工測量
3次元設計データ作成
ICT建機施工
3次元出来形管理
3次元データ納品
などを、ICT施工として整理している。
従来施工では、図面や丁張を中心に施工を行っていた。
最近は、“施工前に作ったデータ”を、現場全体で共有する流れがかなり増えている。

【manfukuメモ】
少し前までは、「ICT施工=一部の得意な会社」みたいな空気もあった。
ただ最近は、かなり“現場寄り”になってきた印象がある。
“データを扱う”という行為そのものが、少しずつ現場へ近づいてきているようだ。
GNSS
Global Navigation Satellite System の略。
人工衛星を利用しながら、位置情報を取得する仕組みの総称。
代表例として、
GPS(アメリカ)
みちびき(日本)
Galileo(ヨーロッパ)
GLONASS(ロシア) などがある。
測量分野では、GNSSローバーを利用しながら、
起工測量
土量確認
出来形確認
ICT建機位置管理
などを行う。
最近では、RTK測位を利用した、数cmレベルの高精度運用も一般化してきている。

【manfukuメモ】
「GPS」という言葉はかなり浸透した。
ただ最近は、“測量専門職だけの機械”というより、現場側で持つ場面もかなり増えてきた。「ちょっとここ確認したい。」を、現場側で動ける時代になり始めている。
また、どこの補正情報配信サービス会社を使うかも精度に寄与すると考える人も少なくない。
RTK
GNSS測位へ補正情報を与えながら、リアルタイムで高精度測位を行う方式。
GNSS単独測位では、数m程度の誤差が発生する場合もある。
RTKでは、
固定局
電子基準点
Ntrip配信
などを利用しながら、位置補正を行う。
条件によっては、数cmレベルの測位も可能。
ICT建機や、出来形管理などでも広く利用されている。

【manfukuメモ】
ICT施工は、“データの世界”に見えることも多い。
ただ実際は、かなり“誤差との戦い”だったりする。
数cmの違いが、施工品質へ直結する場面も少なくない。
TS(トータルステーション)
GNSSと異なり、衛星を必要としないため、
山間部
トンネル周辺
衛星遮蔽環境
などでも利用できる。
近年では、
自動追尾
ワンマン測量
出来形管理
などへ対応した機種も増えている。

【manfukuメモ】
GNSSがかなり増えた今でも、TSが現場から消える気配はあまりない。
現場条件によって、しっかり使い分けられている印象がある。
また、AIを搭載したTSも登場し始めており技術の研磨はどこまでいくのか、まだわからない。
点群
無数の点によって構成された3次元データ。
各点には、
・X座標
・Y座標
・Z座標 などの位置情報が記録されている。
レーザースキャナやドローンレーザー、SLAM機器などによって取得されることが多く、近年のICT施工や3次元測量では欠かせない存在となっている。
取得した点群データは、
・現況地形把握
・土量計算
・断面作成
・出来形管理 などに活用される。
点群そのものは単なる「点の集合」だが、数百万点から数億点の情報を持つことで、現実空間を高精度に再現できる。

【manfukuメモ】
最近は「点群」という言葉を耳にする機会が当たり前になってきた。
ただ、点群は完成形ではない。
あくまで現実空間を記録した生データである。
そこから断面を切ったり、土量を計算したり、3次元モデルへ変換したり。
活用方法によって、さまざまな価値を生み出せるのが点群の面白いところだ。
LiDAR(ライダー)
LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を照射し、その反射時間を利用して対象物までの距離を測定する技術。
建設業界では、
・地上型レーザースキャナ
・ドローンレーザー測量
・モバイルマッピングシステム(MMS)
・SLAMスキャナ などに広く利用されている。
写真測量が画像の特徴点を利用して3次元化するのに対し、LiDARはレーザーによって直接距離を取得できることが特徴。
そのため、
・樹木下の地形取得
・複雑な構造物計測
・夜間計測 などにも活用される。
取得されたデータは点群として保存され、土量計算や出来形管理などへ利用される。

【manfukuメモ】
「LiDAR=点群」
と思われることも多い。
しかし実際には、
LiDARは"測る技術"
点群は"測った結果"である。
写真測量とLiDARは比較されることも多いが、どちらが優れているというより、現場条件によって使い分ける技術と言える。
最近ではiPhoneや自動運転技術でもLiDARが活用されており、建設業界以外でも耳にする機会が増えてきた。
ちなみに、お掃除ロボットにも使用されている技術だ。
SLAM
SLAM(スラム)は、自己位置推定と地図作成を同時に行う技術。
日本語では「自己位置推定と環境地図作成の同時実行」などと説明されることが多い。
従来の測量では、既知点やGNSSを利用して位置を求めながら計測を行うケースが一般的だった。
一方SLAMは、
・LiDAR
・カメラ
・IMU(慣性計測装置)などの情報を利用しながら、
自ら位置を推定し、周囲の空間を3次元化していく。
建設業界では、
・ハンディスキャナ
・バックパック型スキャナ
・モバイルマッピングシステムなどで活用されている。
特に、
・建屋内部
・工場設備
・トンネル
・GNSSが受信しにくい環境 で力を発揮する。
取得されたデータは点群として保存され、
現況記録やBIM/CIMなどへ活用される。

【manfukuメモ】
SLAMは、
「歩くだけで点群が取れる技術」として紹介されることも多い。
実際にも歩きながら、
自分が今どこにいるかを推定し続ける
かなり賢い技術である。
近年は機器性能の向上もあり、測量だけでなく、設備管理やインフラ点検などでも活用が広がっている。
3次元設計データ
3次元設計データとは、平面図や縦断図、横断図などの設計情報を3次元空間上で表現したデータのこと。
ICT施工では、施工の基準となる重要なデータであり、
・ICT建機
・マシンガイダンス
・マシンコントロール
・出来形管理 などで活用される。
従来の施工では、図面や丁張を基準に施工を行うことが一般的だった。
一方ICT施工では、設計情報を3次元化し、重機や測量機器へ取り込むことで、施工精度や作業効率の向上を図っている。
代表的なデータ形式として、
LandXMLなどが利用される。

【manfukuメモ】
ICT施工の主役はGNSSやICT建機だと思われがちだ。
しかし実際は、「3次元設計データがあるからICT施工が成立する」
と言っても過言ではない。
GNSSもICT建機も出来形管理も。
すべては設計データを基準に動いている。
最近は施工効率だけでなく、
「掘ってはいけない場所」や「近づいてはいけない場所」
を設定する回避ゾーン(Avoidance Zone)の活用も進み始めている。
3次元設計データは、施工管理だけでなく、安全管理の分野でも活躍するようになってきている。
BIM/CIM
BIMは主に建築分野、CIMは主に土木分野で利用されてきた。
最近では、
設計
施工
維持管理
まで含めながら、情報共有を行う流れが進み始めている。

【manfukuメモ】
建設業界も建築業界も、“完成したら終わり”ではなく、
“情報を残し続ける”方向へいよいよ本格的に変わり始めているようだ。
3DGS(3D GaussianSplatting 3Dガウシアンスプラッティング)
大量の写真から高精細な3次元空間を再現する技術。
2023年頃から急速に注目を集め始めたフランス発の技術。
従来の点群やメッシュモデルとは異なり、無数のガウシアン(Gaussian)情報を利用して空間を表現する。
特徴として、
・写真に近い見た目
・高速な描画
・軽量なデータ構造 などが挙げられる。
建設分野では、
・現場記録
・デジタルツイン
・維持管理
・施工前後比較 などへの活用が期待されている。
【manfukuメモ】
少し前までは、点群か。
フォトグラメトリ(写真から3Dを作る技術)か。
そんな選択肢が中心だった。
最近は3DGSという新しい選択肢も登場し始めている。
特に面白いのは、「測量」というより「空間そのものを保存する」感覚が強いことだ。
現場へ行かなくても、その場に立っているような感覚で空間を確認できる。
将来的には、点群やBIM/CIM、デジタルツインと並びながら活用される場面も増えていくのかもしれない。
少し前まで、ICT施工という言葉は、“得意な会社だけの世界”のようにも見えていた。
ただ最近は、現場監督。オペレーター。若手社員。
色んな立場の人が、少しずつデータへ触れ始めている。
そして、新しい言葉も、かなり増えた。
GNSS。点群。LiDAR。BIM/CIM。
偉い人たちが作った偉い言葉は、最初は難しく見える。
ただ実際は、「現場をどう楽にするか。」「どう安全にするか。」そんなシンプルな目的へ繋がっている技術も多い。
ICT施工も、“特別な人だけの技術”ではなく、
少しずつ、“現場の共通言語”へ変わり始めているのかもしれない。
このmanfuku辞書も、今後じわじわ更新予定。
現場でよく聞く、“あの言葉”が増えた時は、また少しずつ追記していきたい。
