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ICT施工の基本用語集 manfuku編②
――GeoTIFF、LandXML、座標系。データの世界をざくっと整理。
ICT施工が普及するにつれて、現場で飛び交う言葉も少しずつ変わってきた。
GNSS。点群。LiDAR。
そして最近は、GeoTIFF。LandXML。E57。GeoJSON。
そんな、少し“データ寄り”の言葉も増えている。
ただ、実際に現場で話していると、
「聞いたことはある。」「なんとなく触っている。」「でも説明は難しい。」
そんなケースも少なくない。
今回は、ICT施工を支えるデータや座標系の言葉を、manfuku辞書②としてざくっと整理。
目次
データ形式
・GeoTIFF
・LandXML
・IFC
・E57
・LAS
・GeoJSON
座標・測位
・電子基準点
・Ntrip
・ローカライゼーション
・座標系
GeoTIFF(ジオティフ)
GeoTIFFとは、位置情報を持った画像ファイル形式。
通常のJPEGやPNGが「ただの画像」であるのに対し、GeoTIFFには座標情報や投影情報が含まれている。
そのため、
・ドローン測量
・航空写真
・衛星画像
・オルソ画像 などで広く利用されている。
GISソフトやCADソフトへ読み込むことで、
「どこで撮影された画像なのか」を正しい位置へ配置できる。
近年のICT施工では、
・起工測量
・現況確認
・施工計画
・出来形確認 など様々な場面で活用されている。

【manfukuメモ】
GeoTIFFは、一見すると普通の画像に見える。
しかし実際は、「位置情報を持った地図」に近い存在である。
ドローン測量を行ったあと、
オルソ画像をGeoTIFF形式で出力する場面も多い。
GISやCADへ読み込んだ瞬間、
正しい座標へピタッと配置されるのを見ると、
ただの画像との違いがよく分かる。
最近は点群や3次元データへ注目が集まりがちだが、
GeoTIFFは現場状況を分かりやすく共有できるデータとして、今も多くの現場で活躍している。
LandXML(ランドエックスエムエル)
LandXMLとは、測量データや土木設計データを交換するためのファイル形式。
ICT施工では特に重要なデータ形式のひとつであり、
・3次元設計データ
・路線データ
・法面データ
・縦断・横断データ などをやり取りする際に利用される。
XML形式をベースとしており、異なるソフトウェア間でも設計情報を共有しやすいことが特徴。
ICT建機やマシンコントロール、出来形管理ソフトなどでも広く利用されている。

【manfukuメモ】
ICT施工が普及する前は、
図面を見ながら施工するという流れが一般的だった。
現在は、設計データそのものを重機へ渡す。
という時代になっている。
その橋渡し役のひとつがLandXMLである。
GNSSも。
ICT建機も。
出来形管理も。
その裏側ではLandXMLが活躍しているケースが少なくない。
普段は目立たない存在だが、
ICT施工を支える重要なデータ形式のひとつと言える。
また、メーカーやソフトウェアが異なっても比較的やり取りしやすいため、
「データ連携」という意味でも重要な役割を担っている。
メーカーによってはLandXMLを自社形式に変換するひと手間が発生する場合も少なくない。これは地味に、属人性とタイムコストを高める。
ICT施工関連機器導入の際は、こういった点も要確認だ。
IFC
IFCとは、BIM/CIMで利用される代表的なオープンデータ形式のひとつ。
建築分野だけでなく、土木分野のBIM/CIMでも活用が進んでいる。
IFCには、
・形状情報
・部材情報
・材料情報
・属性情報 などを保持できる。
そのため、
設計ソフトで作成したモデルを、
施工管理ソフトや維持管理システムへ引き継ぐことも可能となる。

【manfukuメモ】
IFCは、
「3Dモデルのファイル形式」として説明されることも多い。
ただ実際は、
「情報を受け渡すための共通言語」
という表現の方が近いかもしれない。
BIM/CIMが普及するほど、
どのソフトを使うかよりも、
どうやって情報を繋ぐかが重要になってくる。
その中心にいるのがIFCである。
最近は点群データやデジタルツインとの連携も進み始めており、
設計から施工、
そして維持管理まで情報を引き継ぐための重要なデータ形式となっている。
E57
E57とは、3次元点群データを保存・交換するためのオープンなファイル形式。
レーザースキャナ業界では非常に普及しており、
・Leica Geosystems
・FARO
・Trimble
・RIEGL など、さまざまなメーカーのソフトウェアで利用されている。
E57には、
・点群データ
・RGB色情報
・スキャン位置情報
・画像情報 などを保存できる。
そのため、異なるメーカーやソフトウェア間で点群データを受け渡す際によく利用される。

【manfukuメモ】
点群データをやり取りする場面で、
「とりあえずE57で出しておきます。」という会話は意外とよく聞く。
それだけ業界内で普及している形式とも言える。
メーカーは違っても、E57なら各点群処理ソフトで読み込めるケースが多い。
点群業界における共通言語のひとつと言えるだろう。
LAS
LASとは、LiDARによって取得した点群データを保存するための代表的なファイル形式。
航空レーザ測量やUAVレーザ測量、モバイルマッピングなどで広く利用されており、現在ではLiDAR点群データの事実上の標準形式のひとつとなっている。
LASには、
・X座標
・Y座標
・Z座標
・反射強度(Intensity)
・分類情報(Classification) などを保存できる。
分類情報では、
・地面
・植生
・建物
・電線 などを区別できるため、解析や地形処理にも利用しやすい。
【manfukuメモ】
E57とLASは、どちらも点群データを扱う形式である。
ただし用途は少し異なる。
特に航空レーザ測量やドローンレーザー測量では、LAS形式で納品されるケースも多い。
点群データを見るだけならE57。
解析や分類まで活用するならLAS。
そんな使い分けを目にする機会も増えてきている。
manfuku的には、LASよりE57のほうが汎用性が高く、データが軽い。
GeoJSON(ジオジェイソン)
GeoJSONとは、位置情報を持つ地理空間データを保存・交換するためのオープンなデータ形式。
JSON(JavaScript Object Notation)をベースとしており、人が読みやすく、Webサービスとの相性が良いことが特徴。
GeoJSONでは、
・点(Point)
・線(LineString)
・面(Polygon)などの地物情報と、
・名称
・種別
・管理番号などの属性情報を一緒に保存できる。
近年では、
・WebGIS
・クラウド地図サービス
・位置情報アプリなどで広く利用されている。

【manfukuメモ】
GeoJSONは、
「GIS版のExcel」のような存在かもしれない。
地図上の位置情報だけでなく、その場所が何なのか。
どんな情報を持っているのかまで一緒に管理できる。
最近はクラウド型GISやWeb地図サービスが増えており、GeoJSONを取り扱う機会も少しずつ増えてきた。
また、GeoTIFFが「位置情報を持った画像」だとすれば、
GeoJSONは「位置情報を持った図形データ」と考えると分かりやすい。
今後、デジタルツインやインフラ管理が進むほど、GeoJSONのような軽量で扱いやすい形式の重要性も高まっていくのかもしれない。
電子基準点
電子基準点とは、国土地理院が全国に設置・運用しているGNSS連続観測施設。
日本全国に約1,300点設置されており、24時間365日、人工衛星からの信号を観測し続けている。
正式にはGEONET(GNSS連続観測システム)の一部として運用されており、日本の測量や位置情報サービスを支える重要なインフラとなっている。
電子基準点で取得された観測データは、
・公共測量
・基準点測量
・RTK測位
・地殻変動観測
・防災分野など幅広く利用されている。
近年のICT施工では、ネットワーク型RTK測位の補正情報生成にも活用されている。

【manfukuメモ】
GNSSローバーを使っていると、「衛星で測っている」
というイメージを持つことも多い。
しかし実際には、
衛星だけで測っているわけではない。
全国各地に設置された電子基準点が観測したデータを利用することで、数cmレベルの高精度な測位が可能になっている。
普段は目にする機会が少ないが、
GNSS測量・ICT施工、
マシンコントロールなど、
その技術運用の裏側では、電子基準点が静かに働き続けている。
まさに日本の測量を支える縁の下の力持ちなのだ。
しかし、私はまだ電子基準点を認識したことがない。いつか見てみたい。
Ntrip
Ntrip(Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)とは、
インターネットを利用してGNSS補正情報を配信するための通信方式。
GNSS単独測位では数m程度の誤差が発生する場合がある。
そこで、電子基準点や固定局で観測したデータを利用しながら補正を行うことで、数cmレベルの高精度測位を実現する。
「ichimill(イチミル)」「ジェノバ」などがそれに関連する企業だ。
Ntripは、その補正情報をインターネット経由で配信する仕組みとして広く利用されている。
現在では、
・ネットワーク型RTK
・ICT施工
・マシンコントロール
・マシンガイダンス
・GNSS測量 などで欠かせない存在となっている。

【manfukuメモ】
GNSS測量というと、
「衛星から位置を取得している」というイメージを持つ人も多い。
もちろんそれは正しい。
ただ実際には、
衛星
↓
電子基準点
↓
Ntrip配信
↓
GNSSローバー
という流れで高精度測位が成立している。
最近は通信環境も改善され、
現場へ固定局を設置しなくても測量できるケースが増えてきた。
その便利さの裏側で活躍しているのがNtripである。
普段は意識する機会が少ないが、現代のICT施工やGNSS測量を支える重要な仕組みのひとつと言えるだろう。
ローカライゼーション
ローカライゼーションとは、測量成果の座標と、現場で使用する座標の整合性を確認し、必要に応じて補正を行う作業のこと。
ICT施工では、
・測量会社が作成した3次元設計データ
・起工測量成果
・点群データなどを現場で利用する。
しかし、
測量成果の座標と、
現場で使用するGNSSやICT建機の座標が一致しているとは限らない。
そのため、
設計データと現場座標のズレを確認し、必要に応じて補正を行う。
この作業をローカライゼーションと呼ぶ。

【manfukuメモ】
ローカライゼーションは、
「測量成果と現場の基準を合わせる作業」と言い換えることもできる。
どれだけ正しい設計データがあっても、
現場で使う座標とズレていれば、
ICT建機もGNSSローバーも正しく動かない。
そのためICT施工では、
施工を始める前にローカライゼーションの有無の確認を行い、
測量成果と現場座標が一致していることを確認する。
見落とされがちな作業だが、
ICT施工全体の精度を左右する重要な工程のひとつである。
座標系
座標系とは、位置を表現するためのルールのこと。
測量やICT施工では、
・この点はどこにあるのか
・この重機はどこにいるのか
・この設計データをどこへ配置するのかを知るために利用される。
代表的なものとして、
・平面直角座標系
・世界測地系
・工事座標系などがある。
ICT施工では、
GNSS測量
↓
起工測量
↓
3次元設計データ
↓
ICT建機施工
↓
出来形管理
という流れの中で、すべて同じ座標系を利用することが重要になる。

【manfukuメモ】
ICT施工のトラブルで原因を追いかけると、
座標系の違いやローカライズの甘さだったということも少なくない。
どれだけ高精度なGNSSやレーザースキャナを使っても、
基準となる座標が違えば、すべてのデータがズレてしまう。
少し前まで、ICT施工の主役イメージはICT建機だった。
ただ最近は、データ・座標・クラウド。
そんな言葉が当たり前に現場へ入り始めている。
重機が賢くなっただけではない。現場とデータの繋がりが定着してきたのだ。
そんな変化の途中に、今のICT施工はあるのだとmanfukuは考える。
次回のmanfuku辞書では、起工測量やUAV写真測量、デジタルツインなど、さらに現場活用寄りの言葉も整理していきたい。
